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六甲おろしは吹き荒れるか

2023.11.20

 苦節18年、阪神タイガースがセリーグ優勝しました。10年ひと昔といいますが、いうなればふた昔なのであります。前回のその時の優勝監督も岡田さんでありました。この監督は、もうみなさんご存じでしょうが、1985年に吉田監督率いるチームが、日本一に輝いた時の中心選手なのであります。岡田、掛布、バースという最強のクリーンナップでシーズンを制したのでした。この時、在阪のファンたちが、狂喜乱舞して、あの汚れ切った道頓堀川に飛び込み、ばい菌だらけになった挙句に、カーネルサンダースおじさんを道頓堀川に放り込んだのでありました。のちのち、この事件?は、カーネルの呪いとして阪神に付きまとい、以後、リーグ優勝どころか日本一に輝けていないのです。この当時は、バブル景気に突入していく時期であり、日本中が浮かれ、若者たちのモラルや品格が薄れゆく時代なのでありました。いや、大人全体が、景気高揚に我を忘れて歓楽の世界に没入していったのです。そして、ジャパンマネーは、世界の不動産を漁りまくり、有名演歌歌手が、ホノルルのホテル所有を実現したのでありました。ロミオとジュリエットという映画の主演女優で、ハリウッド女優であるオリビアハッセーが布施明と結婚したのには驚きました。日本国内でも不動産屋が、肩で風を切って経済界を席巻して、許永中や尾上ぬいという、金融機関を巻き込んで暗躍した時代でもありました。そんな栄華も長くは続かず、やがてバブルははじけて、経済不況が日本に到来したのであります。その影響を今日まで受け続けて今の日本の現状があるのです。バブルがはじけて30数年、そんな歴史と共に、阪神タイガースファンは、応援し続けてきたのであります。もちろん、2003年には、熱血監督の星野仙一が、リーグ優勝を果たすのですが、日本一にはなれませんでした。そして、先述の第一次岡田監督時代のセリーグ制覇につながったのですが、ここもパリーグを制覇したロッテに4戦全敗のストレート負けで日本一を無残にも逃したのであります。まさに暗黒の歴史でありますが、そこから岡田氏の臥薪嘗胆が始まったのでした。2008年には、ブッチギリの13.5ゲーム差で独走していたのに終盤にメークドラマの長嶋巨人にうっちゃられて優勝を逃がすということもあったのです。2012年には今年相手のオリックスの監督をしていたのですが、シーズン途中で突然の解任宣告をうけたのでありました。そういう岡田監督自身の紆余曲折がたくさんあったのです。そんな状況の総てを勘案すると、今年にかけるご本人の積年の気持ちは、容易に想像できるのであります。チームを再建する、ではなく、最初からアレだったのです。あれ、それ、いやいや、などはご本人の口癖でありますが、優勝をあえてアレとしたのは、選手たちを気負わせないよう、力ませないようにする一つの戦略だったような気がします。星野監督は、シーズン中は絶対優勝という言葉を発しなかったのです。これも選手たちを気負わせないための戦略だったのです。あらゆるスポーツに言えることですが、勝ちを意識してプレーすると必ず力みや、ややもすると、油断が生じるものです。そう、スポーツを支配する大部分は、選手各自のメンタル部分なのです。いくら肉体を鍛えても、いくら技術を磨いても、その気持ちが揺らぐと、実力を発揮できずに暗転してしまうのです。野球ではボール球を振ってしまう、或いは、ボールにしてしまって四球でランナーを出してしまう、ゴルフでは50センチのパットを外してしまう、OBを打ってしまうなど、心身のこころの部分が、大きく作用するのです。近代スポーツでは、このメンタル部分のトレーニングが、身体能力の大きな部分を占めると言われています。さて、今回の岡田監督は、これらをわきまえたうえで、どんな采配を発揮してくれるでしょうか。楽しみであり、怖いもの見たさであり、大きな不安でもあります。この文を読んで頂く頃には勝敗は決しています。本日、1勝1敗からの第3戦であります。ああ、神のご加護を!