月別: 2019年8月

断腸の思いは何れに

2019.08.20

梅雨が終わりました。そして、今年も灼熱の太陽が日中を支配するようになり、猛暑を迎えることとなりました。雨が良いのか、晴れの日が良いのか、意見が分かれるところですが、流石にこの時期は、熱中症のリスクも抱える熱波を凌ぐために、少々雨も恋しくなるのではないでしょうか。とはいうものの、ゲリラ豪雨まで行くとまた、その恐怖も付いて回るのですが。  さて、今年も梅雨が明けると高校野球の季節です。恒例の甲子園球場で全国高校野球大会が開催されます。そんな中、ある事件?でマスコミは賑わいました。そう、大船渡高校の佐々木君がもたらした事件です。佐々木君と言えば、163kmの剛速球を投げる稀有な選手でありますが、事件と言っても矢面に立ったのは、大船渡高校の監督です。岩手県の予選から始まった大船渡の快進撃が、この監督の意思によって止まってしまったのです。皆さんもご存じのように決勝戦で佐々木選手を登板させなかったのです。登板させなかったどころか、全く試合に出さなかったのです。この件について皆さんはもう既に、様々な記事で事の成り行き、詳細はご存知でしょうから改めて言及しませんが、佐々木選手の心中や如何に、なのです。全国の高校野球球児は、およそ4千校、おそらく十数万人以上存在するのです。そして、総ての学校の選手たちは、甲子園を目指して何百日、何千時間も練習に明け暮れ、汗にまみれ、熱中症のリスクにも負けず、試合に勝ち進んでいくことに必死の努力をするのです。そのような経緯の中で、ようやくあと1試合で甲子園への夢が叶うというときに大黒柱を外され、甲子園への夢が経たれた佐々木選手はもとより、他の選手たちの思いはどうだったのでしょうか。監督に懇願して佐々木投手の登板を言いきれたのでしょうか。例えは違うかもしれませんが、特攻隊の出撃を上官の命令で拒否もできず、死出の旅に出た若者たちの思いと同じなのではないでしょうか。佐々木君は才能もあり、何れプロの道を歩むのでしょう。しかし、他の選手たちはおそらくプロの逸材ではなく、それぞれに進路を決めて進んでいくのですが、いつか社会に出た時に、甲子園に出場したという自分なりの勲章が欲しかったのではないでしょうか。仮に佐々木君が投げて勝てたという保証は何もありません。メジャーリーガーの大谷選手も岩手県の決勝で敗退したのですから。でも彼は、決勝を投げ切って敗退したのです。佐々木選手とは違うのです。全員で力を合わせて負けたとしても、きっと悔いはなく、清々しい気持ちで終えることができたのではないでしょうか。決勝戦で監督の意思によってエースの登板が無くなった、これが他の選手たちのトラウマにならないことを願うばかりです。もし佐々木選手が投げていたとしたら肩を潰して大変なことになっていた?そんな危惧をするのはプロ野球チームのスカウトぐらいです。自分の体は自分が一番わかるはずです。私は、どのような状況でも自分の気持ちを最優先すること、させることが大切だと思うのです。そして、共に戦ってきた仲間たちの気持ちを思いやることも大切だと思うのです。近代野球は、理論づくめでデータを駆使して対戦に活用しています。選手の体調管理もPCを活用して維持しています。どちらも大切なことなのですが、そこにもう一つ感性というものが必要なのです。自分の感じる力、考える力というものが加味される必要があるのです。100球投げたからハイ、交代、二日連続の投球はだめですよ、大切な試合でもデータ的にダメならば出てはいけません、そんながんじがらめのスポーツで果たして良いのでしょうか。駄々をこねる必然性もあるのではないでしょうか。言うことを聞かない前進も有りではないでしょうか。思春期の子供たちを指導するのは大変難しいことです。しかし、そこで優先されるべきは、万人のデータではなく、人として目の前にいる子供たちへの敬意とその思いを推し量ることに尽きるのではないでしょうか。