月別: 2024年8月
華やかな舞台裏の悲哀
2024.08.20
パリオリンピック競技が佳境を迎えています。前回の東京オリンピックは、コロナ禍で開催されたため、必死で手に入れた観戦チケットが無効となり、冥土の土産にしようと思っていたことが、図らずも無残に霧消してしまいました。それから3年、今大会の開催にあまり実感が無いのは、そんなショックを引きずっているのかもしれません。そのパリオリンピック、何かしら奇抜さのみが売りのような感じがします。先ずは開会式。セーヌ川を船に乗って入場?する世界で初めての試みでありましたが、何かしら選手たちの連帯感、一体感が無く、その辺のイベントのような風情を感じて、あまり感動的でなかったのは私だけでしょうか。この出だしの雰囲気からフランス人気質と言いますか、おしゃれ意識のみが先行する感じがしました。エッフェル塔、凱旋門、セーヌ川、総てフランスの代名詞的に世界が認識しているということは理解できますが、そんなに改めて感動する環境ではないのではないでしょうか。それよりも、実際のセーヌ川の汚染が深刻なことではないでしょうか。その汚染されたセーヌ川でトライアスロンの競泳が実施されたことは、驚き以外の何物でもありません。いや、悪寒を感じるほどの見切り発車なのでは無かったでしょうか。このことは何を物語っているのでしょうか。そう、華やかな表向きのパリの風情の裏では、インフラが整っていない都市機能なのではないでしょうか。開会式前に大雨の影響で大量の生活排水がセーヌ川に流れ込み、その水質が悪化したというのです。日本もずっと以前、戦後間もなくの高度成長期以前は上下水道のインフラ設備が整わず、水質汚染が深刻な時期がありましたが、高度成長に合わせて国策によって上水道、下水道のインフラが整備されました。もう何十年も前のことです。それが、フランスではまだ整っていないということなのです。これは、フランスだけではありません。イタリアも生活ごみの処理が行き届かずに、処理しきれないゴミが、街のいたるところに山積みされているとのことです。まさに、国や自治体の財政が行き届かず、都市環境の悪化につながってしまっているのであります。そう考えると、国政や地方行政に不満が山積している我が日本ではありますが、まだこの面だけでいうとマシなのかもしれません。上下水道は完備されており、ゴミ処理も公共のシステムの中で、スムーズに運用されているのです。わたしは、ヨーロッパに行ったことはありませんが、見聞する中ではその生活環境は、決して良好とはいえないような気がします。普段は見た目の華やかさに目を奪われますが、そのこととは裏腹に、汚い部分や未整備の部分を覆い隠すのは如何なものでありましょうか。今回のオリンピックで感じたものは、真っ先にそのことでありました。もう一つ、このオリンピックの開催の運用に関して、様々な不備がマスコミを通じて伝えられています。皆さんが観ていた柔道の誤審や見逃し、多かったのではないでしょうか。そもそも柔道に関しては、組手からの一本勝負であり、得点や減点を重ねる競技ではないのです。投げた、投げられたなのです。押さえた、押さえ込まれたなのであります。もともと日本独自の競技であったのですが、世界に普及するにつれ、外国文化で本質を欠いていく競技になりつつあります。そもそも柔道着は白なのです。それがいつの間にか青い柔道着ができてしまったのです。そんなことなら赤でも黄色でも何でもあり、でしょうか。いや、いつかそうなってしまいそうで不安満載です。ボクシングじゃあるまいし、青コーナー、白コーナーは、勘弁願いたいものです。選手村の環境問題も伝えられています。カーテンが無いとか食糧事情が最悪とか、選手ファーストではない状況が露呈したようです。今回は、野球もソフトボールも無く不満だらけです。自国に有利な種目をラインナップさせるのは多少ぐらいなら致し方ないでしょうが、何かIOCには違和感を覚えます。金満体質、営利主義と言われて久しいですが、本来のスポーツマン精神はどこに行ってしまったのでしょうか。真摯に競技に相対する選手を見るにつけ、一抹の悲しさを感じるのであります。来年の大阪万博、大阪府知事も大阪市長も心して開催してくださいよ。所属政党の宣伝にはくれぐれも悪用しないでください。