月別: 2022年12月

月は東に日は西に

2022.12.20

 先日、皆既月食を見ることができました。夕方の午後6時ぐらいから徐々に欠け始め、やがて全部が地球の影に入り、暗いオレンジ色の月に変身しました。3年後にはまた見ることができるようですが、宇宙の神秘の一つを見たことは、嬉しい出来事でした。月にまつわるおとぎ話やSFXは、たくさんの人に夢を与えてくれます。見上げる夜空の月には、餅をつくウサギがいると今も語り継がれています。ある出来事が起きるまでは。それは、人類が初めて月に上陸したことで、月の実像が極めて現実的に世間に知らされる結果になったことです。あの1969年の歴史的快挙であったアポロ11号による月面着陸であります。ニール・アームストロング船長が、月に降り立つ映像が世界に配信され、多くの人々の感動を呼びました。夜空を見上げて癒される存在だったのに、その見上げる月の現実を知った時の感動と戸惑いは、両面で心の中にたくさんあったのではないでしょうか。月を題材とした小説や物語は人々の心に残るものが多くあります。先日逝去された崔洋一監督の在日コリアンを主役とした映画「月はどっちに出ている」や、村上春樹氏の小説「1Q84」では二つの月が同時に出る情景をたびたび文中で表現しています。月は、主役ではないけど脇役でもない、妙に主張力がある存在なのです。俳優でいうと大滝秀治、小林稔侍というところでしょうか。名監督の故野村克也氏は「王や長嶋はひまわり、わしは月見草」という名言を残しました。決して自分を卑下しているのではなく、脚光を浴びる人気球団の有名選手とあまり人気のない球団の実力選手の対比を揶揄した言葉でした。言い得て妙なのです。太陽と月、宇宙の中でも太陽系の主役と脇役という存在かもしれません。脇役といえども地球は、人類を創出した稀有な惑星であります。太陽を除けば、圧倒的な主役なのであります。その地球が、最近ますます人間の月への興味が増して、諸先進国で月への進出を企図しているのです。日本でも探査機を月に着陸させて様々な調査を行おうとしています。某有名人は、資金にものを言わせて、月旅行を計画しているとのことです。他の国でも有人宇宙船を計画している模様です。文明が進歩して月に宇宙船を着陸させるぐらいは容易な時代です。確かに、月から見る地球の姿を一目見たい気はします。目に焼き付けて冥土の土産にしたいと思いますが、ほぼ不可能なのであります。せめて映像になったものでも良いので見たいと思うのであります。しかしながら、その一方で大国では軍事活用なども視野に入っているとのことです。中国、アメリカ、ロシアなどが怪しいのです。地球上で防衛する手段は、概ね構築されています。核兵器が最たるもので、お互いに核兵器を所有して脅しあいをしているのです。それは、悪いレベルで均衡しており、近頃頻繁にミサイルを打ち上げては脅している北朝鮮が最悪の見本です。そんなこんなで、もし月がそのような軍事目的で使われたたらどうなるのでしょう。金属や火薬で月の表面が汚されて、或いは建設物が立ち並び、地球から見る姿が変形してしまったらどうするのでしょうか。創出したものを自らの手で破壊するのもまた、人間のさがなのです。宇宙から敵国を攻撃したり、月から地球の敵国を攻撃することを人間はやるのです。月は自転しないから日陰と日向は明らかなのです。そう、今も月の裏側はあまり研究されていないのです。そこを狙って隣の大国は、ひそかに月の裏を狙っているとも聞きます。怖いですねぇ。SDGsなどと言って人類は、はしゃいでいますが、本当に大切なのは、地球上並びに宇宙に存在する総ての物の平和利用なのではないでしょうか。しかし、世界平和などというものは、人間が存在する限り、永遠に来ない気がします。人間は、欲が深く、打算的で残酷な動物であるからです。そして何よりも必要以上にその悪知恵が働く動物でもあるのです。今一度、優雅に輝く月明かりの下で、自分なりの今年の総括をして、締めくくりたいと思っています。菜の花や月は東に日は西に(与謝蕪村)