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裸の王様はどこに向かうのか
2025.02.20
アメリカの大統領が、トランプの返り咲きとなり、とにかくざわつきが収まりません。アメリカ第一主義をうたい文句に、周囲の関係国との間柄に様々な軋轢を産み出しています。国境問題、不法移民問題、そして、貿易がらみの関税問題など、独断的に、排他的に大統領令を乱発しているのです。アメリカの制度でも何かの環境を変えるときには、通常民主国家として、先ず関係法令を懸案して合議制の元、賛成多数であれば国家として法を遂行できるのですが、トランプにとって合議制などというものは、有名無実であり、ほぼ自分の独断で大統領令としてルールを捻じ曲げることができてしまうのです。自国の産業を守るために外国からの輸入品に負けそうになると、その製品に法外な関税を押し付け、その競争力を削ごうとするのです。貿易というものは、必要なものをその費用の価値と照らし合わせて妥当であれば買い、販売側は売るのであります。もしそうでなく、高い関税をかけて本来必要とするものを、手に入れられないことになると、価格は下がっても質の悪い残り物製品を手にすることになります。安かろう悪かろうであります。もしこんなことが続くといずれ市場の混乱を招き、バランスの取れた市場が形成できなくなってしまうのです。まさにトランプは裸の王様そのものであり、気が付いた時には人望も尊厳も葬り去られているのではないでしょうか。当然、アメリカは民主主義の国家でありますから、反対意見を持ち合わせた人たちが対極にいるとは思いますが、現段階では鳴りを潜めています。アメリカ自体は大国でありますから経済すべての面で他国と比べても、その優位性は変わらないでしょうけれども、世界の中では、いつ他国に寝首を搔かれてもおかしくはないのです。軍事力、経済力で現状、他国を押さえ込めていますが、それぞれが同等の勢力を保持すれば現実は変わってしまう可能性が十二分にあります。そう考えると日本はいつまでもアメリカの同盟国という位置づけが正しいとは言えなくなってくるように思います。我が国が他国に侵略されそうになった時、果たしてアメリカは、守ってくれるのでしょうか。なぜ守ってくれるのか、それは、日本がアメリカの役にたっているからです。もし役に立たなくなれば守る必然性はなくなってしまうのです。軍事力というのは本来、他国を威すためのものです。物理的な領土争いが起こらなければ、ただの脅し合いなのです。兵器というのは実戦でこそ役に立つものであって、戦争が無ければ無用の長物なのであります。いや、無用ではありません。現実に他国に侵略されることになると使用しなければならないのです。もし、アメリカが、はしごを外すことにでもなれば、自力で国土、国民を守らなければならないのです。そう、アメリカがいつまでも日本の同盟国であるとは限らないのであります。日本の経済が衰退して、資源も無く、知能もなくなれば、その市場価値を失い、代わりに世界有数の人口を抱える中国が、アメリカにとっての最大の市場ということであれば、アメリカがどちらを選ぶのかは自明の理であります。また、新たな対立軸は、もうすでにそこに存在しているのです。アメリカと中国で世界を二分化してしまえば、はっきりとした勢力争いが展開されることになるのです。現状も世界のあちらこちらで紛争が起こっています。この現象は、これからも絶え間なく勃発していきます。そんな世界平和とは真逆なことが世界中で起こっているのに世界の各国は、どうにもできないでいます。本来その役割は、国際連合が担わなくてはならないのに実質、無力な組織となっています。トランプは、国際連合への支援を絶つと宣言しました。世界の警察と自負していた国が、もはや影響力が希薄となったことへの裏返しなのかもしれません。どちらにしてもこれからのアメリカは、友好国との関係を良好に保って行けるのでしょうか。まさか孤立することはないでしょうが、これまでの友好国が他国との友好関係を強化していくことになれば、そのアメリカファーストは、アメリカ国史上、最も悪いほうに名を残すことになるのかもしれません。しらんけど。