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昭和枯れすすき

2024.05.20

 昨今のテレビ映像の形態が大きく変わってきました。皆さんは、テレビを観るための手段、どのようになっているかご存じですか。その手段をざっと書き出しますと、先ず当然のことながら地上波デジタルとCS、BSなどの衛星放送ジャンルが一般的です。これらは、ケーブルテレビ放送を契約すると、殆どの番組を観ることができると共に、通常、テレビ本体のチャンネルを従来通り押すことによって視聴できます。では、他には何があるのでしょうか。そう、ネット系の番組が新たにどんどん参入しているのです。これは、どういうことかというと、インターネットの接続設定があると、そのネット経由で動画を視聴できるというものです。YouTube、Netflix、アマゾンプライムなどがあります。他にも色々あるのですが、自分の実用領域では、大体このぐらいを認識していれば用が足りるのです。しかしながら、このネット系のチャンネル数は、極論すると無限に近いのです。何故かというと、素人が多少の知識を学ぶことで、誰でもがそのコンテンツを発信できてしまうのです。そう、だからチャンネル数が圧倒的に多いのです。もちろん、チャンネルが多いからといって、すべてを観るわけではありません。自分の興味がある分野、発信者の人物像、そしてその時の視聴欲求の内容に従って、自分で探しだして視聴するのであります。いわゆる、検索をかけて観たいものを探すわけです。昭和の私たちは、テレビで何かを観たいときは、新聞のテレビ欄を見て番組を探し、しかるべき時間にその番組を視聴してきたわけです。しかし、現在はどうでしょう。番組表なんかあるわけがありません。そんなものを作る必要が無いのです。観たいものは、検索という手法で探し出せるからです。ケンサクと言えば昭和の私たちの認識は、「森田健作」であり、「おれは男だ」が定番だったのです。現代のケンサクは検索なのであります。では、どのような時に検索を伴う番組を視聴するのでしょうか。例えば、自分のひいきのプロ野球チームが勝った場合、通常は、スポーツニュースを待って、勝利の余韻を楽しむのですが、現在では、ネット番組ですぐに自分好みの解説者による試合回顧ができるのです。私の場合、阪神ファンでありますので、「関本チャンネル」とか「田尾チャンネル」とか「虎バンチャンネル」とか「佐藤義則チャンネル」などいっぱいあるのです。これらは、詳細の解説付きでありますから、従来のテレビのスポーツニュースより具体的な内容のものが、視聴できるわけです。これが、野球チーム数ごとにあるわけですからもう、その数は十二分に想像できると思います。このことのメリットは、余計な他のチームのニュースを見る必要が無く、自分の気に入ったものだけを随時視聴できるところに最大の意義を有するのであります。ドラマや映画にしても日時の決まった日に観る必要が無く、いつでも観たい日の観たい時間に自由に視聴できるのです。そして、今や一般的なのは、見逃し配信というものがあり、仕事や私用で見逃してしまったものも、残念がることなく、後日自由に視聴できるのであります。そう、録画という機能も少しずつ不要になってきているのです。昨日もプロボクサーの井上尚弥選手のタイトルマッチを見逃してしまったのですが、心配ご無用、すでに直後には、YouTubeで配信されていたのです。このように、今や大抵の視聴欲求に対応してくれる環境になっているのです。これらが、私たちの生活にもたらす意味は、無駄な時間の排除ということでしょうか。或いは、自己欲求に対する満足度への貢献なのでしょうか。動画コンテンツにとっては、革新的な進化を遂げている今日この頃ですが、その進化にそろそろついていけなくなるような気もするのであります。ITにしろAIにしろ、空前の進化を遂げ続けているのですが、これからも人類は、その進化に意義を感じて対応していけるのでしょうか。技術革新が文化崩壊に至らないことを老婆心ながら祈るばかりです。古き良きアナログの昭和を、少しだけ懐かしむ日々なのであります。