月別: 2023年5月

瞼に残るもの

2023.05.20

 悲喜こもごものゴールデンウィークもあっという間に終わりました。当社のように、ほぼ年中無休の運営体制の組織には、毎年、連休という概念には乏しい期間でありましたが、日本の大多数を占める給与所得者にとっては、長期休暇を取れるまさに、ゴールデンな期間なのでありました。そんなゴールデンウィーク、皆さんも感じておられると思いますが、旅行代金にプレミアがつく時期であり、あらゆる旅行日程が集中して、道路は大渋滞、輸送機関は超満員、行楽先は列を作るほどの大混雑を招く時期でもあり、想像するだけでも重労働であるに違いありません。旅行の楽しい思い出は作れるとは思いますが、同じくらい心底疲れてしまったという結果も付いてきたのではないでしょうか。特に、小さい子供たちに楽しい思い出をプレゼントしたいという使命感に燃えて獅子奮迅の大活躍を見せた世の中のお父さんたち、お疲れさまでした。誰しも通る道なのでありますが、当の子供たちは、大きくなってどのくらいこの現実を覚えているのでしょうか。楽しかったことは一生の思い出として残ることでしょう。しかしながら、そのバックヤードで目立たず、細心の注意を払った旅行のプランニング、人の波に押し負けぬくらいのど根性を見せた父の姿は、瞼に残っているのでしょうか。あ、いや、愚痴っているわけではないのですよ。昭和の父は、栄光と挫折の境目を必死に生き抜いてきたなれの果て、いや、努力の賜物としての達成感で自我を保って生きてきたのです。当然のことですが、子供たちもいずれ親になれば同じ経験をするのです。順繰りということです。ところが現代は、女性の社会的進出が目覚ましく、父の領域、即ち、男の働く環境も随分と変化してきました。にも拘わらず、世界的に見て日本はまだまだ女性の社会的進出は、平均以下のようです。例えば、政財界の要職は依然として男性社会であり、そこには男女の差別も依然として存在し続けていますし、意図的に女性の社会進出を拒んでいるようでもあります。某東京の医科大学では、男女で合格基準を区別していたとの世論もあったとのことです。自治体の首長もまだまだ圧倒的に男社会であります。それ以前に、議員比率も圧倒的に男性なのであります。少々横道に反れてしまいましたが、ゴールデンウィークという国民が1年で一番活動する時期にここぞとばかりに活躍する人は誰か、という問いには私としては、父、あなたですよ、と申し上げておきたいのです。これは、母は何もしていないということではなく、母のリモートコントロールはしっかり働いているということなのです。そう、父の一存で家庭が動くわけがないではありませんか。イベント事には財政が働くわけでありますし、休暇中の家庭内の動きは母がシミュレーションした結果なのであります。斯くもこのようにゴールデンウィーク中の家庭の動きは、単純そうに見えて非常に複雑に様々な思惑が交錯した結果なのであります。ここで述べておかなければならないことですが、GWはもちろん、決して家庭だけのためのものでは無いということです。学生にも独身の社会人にも様々な形でこの時期を活用できるのであります。最もポピュラーなものは、やはり帰省でしょうか。母や父にとってこれが一番嬉しいのではないでしょうか。子供のころに必死で計画したGW大作戦を覚えていなくても、今帰省してあまり知らない日常の話をしてくれることが一番嬉しいのではないでしょうか。ニュースが伝える華やかな様子は、それを見聞きしても別に嬉しいわけではありません。楽しいわけでもありません。ああそうなんだあ、ぐらいのリアクション止まりです。でも、家族それぞれの今現在は、いくら年月を経ても一番知りたいものなのではないでしょうか。GWというビッグイベントとしてマスコミは伝えますが、他人の様子を知ったところで何も感慨深いものはないのです。そう、人それぞれのGWを過ごした内容が、今年の自分のスーパーイベントなのです。