月別: 2023年6月
One for all,all for one
2023.06.20
初夏の日差しになってきました。この時期、梅雨時でもあり、雨が降らなければ暑く、雨が降るとじめじめとした息苦しい一日になります。直近の予報によりますと今年は、台風が多く襲来するとのことです。初夏の適度な雨は、暑さをしのげて歓迎なのでありますが、長雨や災害級の大雨は、御免被りたいものです。ましてや台風の上陸は、ゴルフのスライスやフックのごとく、日本列島に上陸しないよう大きく曲がってほしいものです。何れにしても、ちょっとした状況の変化で過ごしやすいか、苦痛レベルになるのか、自然任せの季節であります。そんな季節感の中、永らく優勝できていない我らが阪神タイガースが、今のところ快進撃を続けています。そんな現状で、クローズアップされている選手がひとり居ます。「大竹耕太郎」と言います。現時点で6勝無敗なのであります。実はこの選手、昨年までソフトバンクに在籍していたのですが、現役ドラフトという、昨年から始まった制度によってタイガースに移籍してきたのです。現役ドラフトというのは、所属球団であまり活躍できずに埋もれている選手を、他の球団が、その埋もれた存在の選手を見いだし、指名して移籍させる制度なのです。その制度によって迎えられた選手なのです。その大竹選手が、自らが勝ち投手になった試合のヒーローインタビューで語ったのが、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」というコメントだったのです。実は、この試合中に大竹選手が、両チーム無得点のまま途中で交代を告げられました。そのままでは自らに勝ち投手の権利が無くなる状況での交代であったため、大変悔しい思いをして退いたのであります。しかし、その直後の攻撃で味方打線が得点をして、諦めていた勝利投手の権利を得たのであります。その瞬間、大竹選手は、感極まり、ベンチで涙したのです。諦めていた勝ち星が、チームのみんなの努力によって自らにもたらされたのです。その時の思いが、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」であったのです。悔しい思いをした直後に、仲間たちが起死回生の活躍で得点してくれたことをこう表現したのです。得点した後に登板した投手も必勝のリレーでつなぎ、大竹選手に勝ちをプレゼントしたのです。この試合、自分の中でも忘れられない、記憶に残る試合であったように思います。実は、この大竹選手のコメント、出所は「One for all,all for one」なのであります。即ち、「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」が、本来の意味だと言われています。確かに意訳すればそのようです。ラグビーの世界では、この言葉がよく使われます。15人でグランドを縦横無尽に駆け回るスポーツの世界では、一人の秀でた選手だけではトライは奪えません。一人一人の力量が集結して、組織として得点を奪いに行きます。即ち、One for allなのであります。では、All for oneは何かというと、そう、トライなのであります。トライするために全員がボールをつなぎ、トライを得るわけです。みんなは一つの目的のために、となるわけです。とりわけ、スポーツの世界では、納得のいく言葉なのです。しかしながら、実業界においてもこの言葉は、心の底から肯定したい言葉でもあります。組織というものは、一人の力では成り立ちません。個々の能力、実力を結集して会社という組織は成り立っているのです。会社だけではなく社会全体が、すべてこの言葉に凝縮されるのではないでしょうか。その背景には、秩序というものも含まれます。協調という言葉も付帯されます。すべての人間は、ここに集約されるのではないでしょうか。これらのことに違和感を持つとすれば、それは、あらゆる場面の犯罪者ではないでしょうか。自分勝手に法を犯す輩は、全く社会にはなじみません。不快な季節に不快な人間の話題は、不必要です。私たちは、ずっとこの言葉を生活の糧にしていきたいものです。「One for all,all for one」