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神々の憂い

2020.06.20

 コロナの脅威に晒されながら、夏を迎えることとなりました。暑さが増していくとマスクの着用が苦痛になってきます。呼気の湿気と共に熱い空気が加わると、もはや苦痛でしかありません。感染予防とはいうものの、大変な苦行がまた加わります。日々様々なニュースが伝えられていますが、あまり確信を得られるニュースは乏しいようにも感じます。モーニングショーやワイドショーに登場する学者の先生も、やや食傷気味なのは私だけでは無さそうです。  そんな状況のもと、アメリカでは一人の黒人の死が原因となり、その殺人の経緯と、人種差別に対する抗議行動が拡大して暴動にまで至っています。そんな事態に際してトランプ大統領は、連邦の軍隊を動員して武力で鎮圧させようとしているのです。民主国家でありながら、武力で制圧しようとするのは、香港の一国二制度を強制的に排除しようとする中国の国家元首と全く同じではありませんか。中国には天安門事件というおぞましい過去があります。民主化を叫び、自由を手に入れたいという中国の未来ある学生たちを徹底的な武力で押さえつけた、あの歴史の汚点であることを示した事件です。そんな中国に対してこれまで非難を浴びせていたトランプ大統領が、それ以上の愚行を敢行しようとしているのです。そろそろアメリカ国民もデリカシーを欠き、人の心を逆なでするこの人物の言動に、いよいよ終止符を打たねばならないのではないでしょうか。脅しとフェイクなツイッターと大統領という権力で政治をしようとするこの人が、コロナ禍で苦しんでいる世界の人々に、追い打ちをかけてしまわないようにと思うのです。WHOを脱退するということも宣言しました。世界の警察を標榜する国が、世界の秩序を乱してしまってはその地位は地に落ちるのではないでしょうか。同盟国である日本としても憂うべく現実となってしまいます。現在のコロナ禍の最中にも一方の中国は、尖閣諸島に無法な侵攻を重ね、沖縄本島と八重山諸島の間を平気で横断しているのです。むしろ、コロナ騒ぎの混乱に乗じて、自国の権勢を拡大していっているのは間違いありません。日本周辺のみならず、南沙諸島への侵略もその勢力を拡大しています。香港への国家安全法の導入を、強制的に制定したことも中国の威信を世界に示すためであり、香港の民主化を阻止すること以外の何物でもありません。アメリカと中国は、世界経済において双璧を成す存在です。本当に不思議な構図になってしまったのですが、資本主義と社会主義、共産主義の融合としか言いようのない間柄になっているのです。世界の工場であり世界最大の消費国である中国と、武器であろうが食糧であろうが世界をマーケットにしているアメリカの関係性は、付かず離れずの摩訶不思議な関係なのです。お互いに鬱陶しいと思いながら、無くてはならない関係でもあるのです。しかし、もしもこの二つの国が何もかも理解しあって仲良くなるとどうでしょうか。いやいや、有り得ないことです。どちらの国も自分の国で世界を支配したいと考えているのですから、船頭多くして船また山を登ることになるのです。つまり、どちらかをどちらかが支配したいだけなのです。手を取り合って世界平和を目指すことなどありえないのです。現在は、経済戦争ということにしていますが、本当に地域を侵略する武力戦争もあり得ないことではないのです。もしもそんなことになったら日本はどうなるのでしょうか。日本だけではなく、他国もどうなるのでしょうか。被害者になるしかないのではないでしょうか。果たして、世界を滅ぼすのはコロナウィルスのような細菌なのでしょうか。それとも二足歩行をするホモサピエンスなのでしょうか。