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大切な言葉の文化

2021.05.20

最近、少し不思議なことがあります。それは、大阪ローカルのニュースやバラエティ番組などの街頭インタビューの時、そのやり取りの言葉が標準語の人が時々います。特に子供たちの時です。おそらく、大阪の地元で育っていると思われるのですが、きれいな標準語を話すのです。もちろん、全員が、というわけではなく、一部の子供たちなのですが。大阪弁といえば、東京へ進出してお笑い界の第一人者になった明石家さんまが、今もなお標準語に染まることなく、いまも大阪弁で喋りまくっています。ある意味、大阪弁を全国区にした功労者と言えるかもしれません。私たちが子供のころは、例えば、電車のアナウンスも大阪弁のイントネーションでありましたし、遊園地の迷子のアナウンスもそうでありました。学校の教科書を読むときも確か、私たちは大阪弁であったと記憶しています。しかし、現在では、みんな標準語のようなのです。それは決して不思議なことではありません。なぜなら、マスメディアが発達して、当然のことながら、標準語での放送が大半であるからでしょう。関西が舞台のテレビ番組でも標準語のセリフである場合も多くあります。こてこての大阪人である私には、少々寂しい気がするのですが、現代での周囲の言葉環境が、標準語であることは止むを得ないことであります。小売店の店員さんは、だいたい標準語を駆使しています。大手企業などでは、入社しての研修で、どの地方出身でも取引先での会話は標準語で対応するよう教育されます。最近では、日本語だけではなく、社内の会話は、英語で会話するという企業も増えているそうです。世界を相手に展開する企業では当然のことかもしれません。日本人は元来、英語が苦手と言われています。それはそうですよね。漢字やかなの文化なのですから、アルファベットは苦手に決まっています。日本がコンピュータ関連事業に後れを取ったのも、そもそもコンピュータの言語はアルファベットであったからです。今のパソコンにしても、いちいち英語を日本語に変換して、或いは、その逆で使用しているのです。英語をフランス語にするのは、アルファベットの配列を変えれば言葉になります。ドイツ語であってもそうです。日本人がコンピュータの世界でひと手間かけなければならないのは仕方がないことです。そもそもの世界の文化と日本文化の違いであるからです。その日本には、大阪弁に限らず、様々な方言があるのですが、そういう方言自体が減っていっているように感じます。皆さんの地域ではどうでしょうか。地元に帰ってほっこりする方言を聞けていますか。もちろん、家族同士の会話は、それぞれの方言の応酬になっていることでしょう。仕事などでその地域に赴任するといくらかは、その地方の方言をしゃべることにもなります。周囲がみんなそうだからです。また、そのほうが何かしらその地の一員になれるような気がするからです。最近のお笑いの世界でも大阪弁や東京弁だけではなく、博多弁や栃木弁、長崎弁や沖縄弁のコンビも人気を博しています。博多華丸大吉、U字工事、からし蓮根、ガレッジセールにスリムクラブ、カミナリなど、みんな方言を前面に出して漫才をしています。そう、そんな方言こそが、味があって人情味が出て方言の多彩さが際立ち、心地よく聞けるのです。最近、大阪から東京に進出して売り出しているコンビもたくさんいます。あるコンビのかたわれが言っていました。ギャラが10倍違うらしいです。東京ってすごいマーケットなのですね。しかし、東京で活躍しても、変な標準語もどきで話すのはやめていただきたい。大阪発祥の芸人ならばせめて言語は変えずに行きましょうよ。大阪弁でも売れる人は売れるのですよ。そう、方言を大事にしたいものです。その地方を一番想像できるのですから。