サクラサク

2023.03.20

春がそこまでやってきました。今年は、梅を観る機会がなく、いきなり桜になりそうです。いや、厳密に言うと、のんびりと観る時間がありませんでした。年に一回だから毎年観に行こうと思っているのですが、他の予定と重なり、機会を逸してしまいました。皆さんは、ゆっくり鑑賞できましたでしょうか。今年の次の桜は、逃さず鑑賞したいと思います。人生でいうと69回目の桜、創業からは25回目の季節です。入園式、入学式、入社式など人生のイベントごとに付き物の桜は、どこか心の片隅に残り続けています。桜咲くは歓喜の合言葉、桜散るはその語感の通り、失意の瞬間なのでありました。短期間に多くの物語を演出するということでは、最高の脇役なのではないでしょうか。花が咲き、そして散り、やがて新緑の装いがしばらく続きます。そして、紅葉を経て落葉するともうすでに、次の開花のための新しい芽を抱くのです。毎年同じサイクルを繰り返しながらもその幹は、延々と成長を続けていくのです。それらをくり返しながらも着実に成長する姿は、何か羨ましくも思え、忍耐強くにも感じるのです。そんな桜の姿からは、単に花の季節をもてはやすだけでは無いように思います。木枯らしのさなか、細い枝の先に新しい芽をつける痩せた桜の木を眺めるのもまた、癒される光景ではないでしょうか。全国各地には様々な桜の名所があります。大阪では、名前の通り、桜ノ宮の造幣局の通り抜けでしょうか。遅咲きの桜も含めて大川のほとりをおよそ600mに亘って咲き誇ります。その種類は、138種類にも及ぶそうです。子供のころは、この期間中、見世物小屋や屋台が立ち並び、花を見るのもたのしみでしたが、これらの屋台の風景をめぐるのも楽しみの一つでした。見世物小屋のろくろ首の女が今も脳裏に焼き付いており、晩年、架空の妖怪だと分かってもその時の怖さは、鮮明に覚えているのです。それにも拘らず、翌年にまた、怖いもの見たさに連れて行ってもらった記憶があります。ここ数年はコロナ禍の影響で開催されませんでしたが、今年は久しぶりに開催されるようです。もう一つ、有名なところでは、奈良県吉野の千本桜でしょうか。山肌を覆い尽くす桜の木々は圧巻です。吉野山には約3万本の桜が、下・中・上・奥の4ヶ所に分布しています。「一目千本」と呼ばれ、それぞれ「下千本」、「中千本」、「上千本」、「奥千本」とも呼ばれます。「一目千本」は見た目が豪華なことを意味します。見所は花矢倉からの遠望や吉水神社から如意輪寺方面を見下ろす一目千本です。中千本の谷を眺める景色も美しいです。余談ですが、桜の名所である吉野山は、晩秋の紅葉の山でもあります。桜の季節とはまた違った趣があり、ハイキングを兼ねた紅葉巡りも華やかな桜まつりとは違った清々しい感性を刺激してくれます。千本桜は、歌舞伎の演目である「義経千本桜」として演じられています。この場合、吉野の千本桜が主題ではなく、千本桜を舞台背景とした物語であります。ここでは多くを述べることができませんが、要約すると、源義経と死んだと思われていた平家の3人の武将である平知盛、維盛(これもり)、教経(のりつね)の運命を軸に、いがみの権太、狐忠信の挿話が複雑にからみながら物語が進行するというものです。歌舞伎の世界は熟知しておりませんが、名の知れた人物の物語でもあり、歌舞伎の定番ということでもありますので、興味があれば足を踏み入れてみるのも一考であります。歌舞伎界も近年は、有名コミックとコラボするファンタジーな演目も公演され、その支持層を広げているようです。中村獅童と初音ミク、歌舞伎役者が演じるワンピースなどがあるようです。知らんけど。もう間もなく桜の花が開きます。心地よい季節感と共に、皆さんの周辺の花見どころで桜を堪能してください。いい季節の到来です。