知らぬ間に四面楚歌

2022.07.20

ほとんど降雨のないまま、早々に梅雨が明けました。例年なら長雨によって日照が遮られ、梅雨のじめじめ感はあってもしのぎやすい時期なのですが、今年はもうすでに猛暑の連続です。ラニーニャ現象に加えてチベット高気圧と太平洋高気圧が布団の二枚重ねのように日本列島を覆っているらしいのです。その結果、予想できるこの夏は、そう、猛暑なのであります。おまけに、気温の上昇と共に、冷房にシフトする電力が、すでに限界に達するということなのです。世界的に燃料の高騰が今も続いており、電力に向けるコストが上がる一方であり、また、CO₂削減の影響で火力発電を抑制されている現状も大きく影響しているのです。このような状況は、十二分に想定できたことではないのでしょうか。東日本大震災以降、原子力による発電が大きく制約を受け、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの普及も急速に進むはずはありません。これらのことから導き出される答えは、やみくもに原子力発電を止めることや、火力発電を止めることが、急務では無かったということではないでしょうか。代替手段を導入するにしても併用期間を経て運用するべきではないのでしょうか。原子力は危険、火力発電は世界の二酸化炭素削減に逆行するという、ないない尽くしでは、国民が困るだけなのです。空梅雨が想定外だった、などと寝言を言えるわけがありません。日本の為政者は、かくもこのように後手後手に回してしまうのです。危機感が欠如しているのでしょうか。それとも、無神経なのでしょうか。水不足、電力不足、燃料不足の三すくみは、いったい誰が回避してくれるのでしょうか。経済分野でも急激な円安が進み、国民には大きな打撃を与えています。アメリカのインフレ抑制、即ち、利上げ政策が進行しており、その煽りを受けるように、日本は近年にない円安に見舞われています。円の価値はどんどん失われて、賃金、物価は上がらず、貨幣価値がどんどん下がっている状況です。かつては貿易大国と言われ、大幅な貿易黒字を創出していた日本も今は、貿易赤字国に転落しているのです。輸入の依存度は、化石燃料、天然ガス、食料など、年を追うごとに増加の一途であり、輸入に関わるコストも上昇を続けています。円安の状況は、外国人、特に中国人による日本の不動産取得に拍車をかけています。ご存じのように中国国内では、土地の所有はできません。全て国から借り受けて、国が要請すればすぐに返さなくてはならないのです。それが元凶となり、中国人の資産家は、商売で稼いだ資金で日本の不動産を買い漁るわけです。かつては、日本人もバブル時代に世界の不動産を買い漁ったように、今は、中国の資産家が億ションなどの所有者となっているのです。このように、日本の現状は、混沌としています。コロナ禍で混乱する国民生活を少しでも明るい方向に持って行ってほしいのに、追い打ちをかけるような困難を、国、自治体は指をくわえて見ているだけなのでしょうか。小さい対策を数多く打っても、結局その効果は限定的でしかありません。私たち国民は、大きな変革を期待するしかないのです。大きな変革、それは、高度成長期を振り返ることかもしれません。当時の企業には外国との競争力があり、働く人たちは、誠実で、勤勉で、努力を惜しまない人々でした。少しでも裕福になりたい、豊かな生活を送りたい、そんな希望に満ちた時代だったのです。日本の進化は常に、そんなところにあったのではないでしょうか。明治維新も日本全体が大志を抱いたことの結果だったのではないでしょうか。永らく続いた平和で豊かな日本の現状が、即ち、平和ボケが、もしかしたら勤勉、勤労の意欲を削ぐ原因なのかもしれません。世界の中で諸外国に翻弄されかねないわが国、日本、果たしてその行方は・・・・!