年輪とおかげさま

2020.01.20

 あっという間にお正月も過ぎました。令和初めてのお正月でありますが、初詣でも例年と変わらない風景でありました。今年のおみくじは「吉」。可もなく不可もなく、というところでしょうか。先ずは順調なスタートとしておきましょう。今年の正月も穏やかなお天気でした。再び暖冬なのでしょうか。体には優しいかもしれませんが、何かメリハリがなく、季節感に乏しい気がします。  新年を迎え、今年も一つ歳を重ねます。歳の取り方は、世代によって色々でしょう。小さい子供たちは、お年玉が興味の中心で、歳が一つ増えることなど気にもしていません。学生たちは、年末年始の過ごし方に一喜一憂していることでしょう。交際のお相手と初詣ででもできれば良し。故郷に帰るお金もなく、マンションの一室で年を越す人たちもいることでしょう。バイトに追われている人もあるかもしれません。この人たちも歳を取るということにはまだ、無頓着です。若い既婚族は、それぞれの実家にお年賀の挨拶。夫婦それぞれに気を遣う行事です。高額な費用で、しかも、どこに行っても超満員なのに敢えて旅行を計画したいのもこの世代かもしれません。中年たちはどうでしょう。まだまだ働き盛りですが、正月ぐらいはゆっくりしたいという心境でしょうか。子供たちは各節目の受験で、あまり呑気なことは言っていられない状況かも。そして、もう既に子供たちが自立して、そろそろのんびりできるかなと思っている世代にとって、次にやってくるのは、さらに歳を重ねた自分たちの親の介護です。いつまでも元気だと思っていた親が、急激に老けていくのはこの世代ではないでしょうか。もちろん、自分たちも恐ろしい勢いで老化して行っている現実がありながら、です。今、世間は、そういう老人世代がどんどん溜まっていっている状況なのかもしれません。そんな状況ですから、介護に従事する人たちが足りないようです。普段自分の親を介護していただいている人たちに本当に感謝の思いでいっぱいです。言葉だけでは済まない相手を、親身になってお世話をしてくれているのです。でも、思うのですが、介護関係の人や看護師さんたちは、気持ちを入れて仕事に取り組めないと思うのです。自分自身のことでも精一杯なのに、他人の世話をすることに気持ちを入れてしまうと、何倍も何十倍もその気持ちで疲れてしまうと思うのです。よく医療や介護の仕事についている人をみて、事務的だなあ、と感じたことは無いでしょうか。たしかに、無表情でてきぱきと仕事をこなす姿は、事務的かもしれません。しかし、私たちはそのおかげで助けてもらっているのです。「おかげさま」とは、お蔭であり、かげで支援してくれている人たちに対する言葉なのです。樹木の成長に例えて、人生の年輪を重ねると言いますが、その年輪には多くの人たちが関わってくれています。正月だけを思い返しても、祖母がいて祖父がいて、おばがいておじがいて、いとこがいて、そして、両親と兄弟。そして、自分の築いた家族、伴侶の家族。友人も。多くの人と過ごして、そして思い出となって、今も心に残っています。総ての人が、そんな人生を過ごしてきたからこそ言えることもあるのではないでしょうか。そして、重みがあるのではないでしょうか。歳を重ねることの尊さや貴重さだと思います。歳を重ねるとは、そういうことだと思うのです。老人は、まだまだ頑張るのです。なぜなら、年輪を重ねているからです。経験が豊かなのです。失敗も成功も豊富なのです。知見が多いのです。歳は追い越せないのですよ。今年は元気な老人の年にして行きましょう。若者たちのサポートも頂いて。