クラウチ・バインド・セット!

2019.10.20

ラグビーのワールドカップたけなわです。日本で初めての開催ということもあり、大変熱のこもった大会になっています。今大会の日本は、非常に強化されたチームとなり、現時点で快進撃を続けています。日本チームは、ロシア、アイルランド、サモアに立て続けに勝利をおさめ、ほぼ決勝トーナメント進出は叶うと思います。ラグビーのワールドカップは、予選がグループ制による総当たりのため、試合数が多くなります。そのため、一つの会場では賄いきれないため、全国の球技場を使用しています。東大阪も市が中心となり、誘致活動をしてきて開催都市に選ばれました。しかし、いまいち、盛り上がっていません。これには二つほど理由があります。ひとつには、行政の運営下手が関わっています。我々市民のはた目には、単独で盛り上げようとしているように見えるのです。東大阪市は大阪府下であるのだから大阪府はもとより、隣りの大阪市や八尾市などをがっちり巻き込んで大々的に開催アピールをすればよかったのではないかと思っています。そもそも地味なのです、東大阪市は。何故か。それは、その昔、布施市、河内市、枚岡市という三市が合併してできた行政であり、本来、まとまった特色がないのです。中小企業の町、などとも言われていますが、これも下請けや孫請けが多く、それぞれの企業カラーは見えにくいのであります。そんなエリアの行政ですから、やっぱり地味なのです。もう一つは、東大阪での開催ゲームが、ランキングが下位のチームばかりで、試合数も4試合に留まるからではないでしょうか。本来、東大阪と言えば花園、花園と言えば高校ラグビーの聖地なのです。そのせいか、高校ラグビーの優勝校は、大阪と周辺府県の学校が常連です。東海大仰星、常翔学園、御所実、天理、報徳学園、等々。そして、泣き虫先生と言われる山口先生率いた伏見工。箸にも棒にもかからない生徒たちを、ラグビーというスポーツを通じて努力することの大切さ、仲間で力を合わせることの尊さを説き、全国優勝にまで導いたノンフィクションです。高視聴率を誇った「スクールウォーズ・泣き虫先生の7年戦争」は、伏見工業高校(現京都市立工学院高校)がモデルであり、故平尾誠二氏や大八木淳史氏を輩出したラグビーの伝説的高校なのです。そんな高校ラグビーの聖地である花園は、高校野球の聖地、甲子園ほど認知度は高くありません。それは、やはり主催者が新聞社という媒介力に優れた甲子園と、広報力に乏しいラグビー協会の花園との決定的な差であると考えます。そこには日本プロ野球連盟とトップリーグを主催する日本ラグビーフットボール協会との発信力の大きな違いも垣間見えるのです。野球とラグビーのどちらが良いか、という比較は全く成り立ちません。技術が際立つ野球も生身の人間がぶつかり合うラグビーも素晴らしいスポーツです。ワールドカップが日本で開催できたことは、国民のスポーツマインドを一段上げたことは間違いありません。野球はサマースポーツであり、ラグビーは本来ウインタースポーツです。もし季節を逆にすると、そのフィジカル面で大きな障害、弊害が出てしまいます。真夏の甲子園球場で80分間走り回ったら命を落とします。真冬の花園で硬球を打ったら次はそのバットを握ることはできないでしょう。よって、スポーツは季節ごとに楽しむことが肝要です。今回のラグビーワールドカップは、我々日本人にとってまた一つ、世界地図を縮めてくれた出来事と思います。そして、ラグビーに対する知識を大きく広げてくれたのではないでしょうか。皆さんがこの文章を読んでくれる頃には、日本が決勝トーナメントを戦っていることを信じます!ニッポンCHA・CHA・CHA!