青天の霹靂の如く

2017.05.20

風薫る5月、例年通りゴールデンウィークを迎え、そしてあっという間に過ぎていったことと思います。ガソリンスタンド業界では、いわゆる書き入れ時であり、最も忙しい時期の一つです。世間のレジャーを横目で見ながら、羨ましくもあり、悔しくもある時期でありますが、みんなが移動することを考えると、どこへ行っても混雑で、渋滞に巻き込まれ、レジャー施設でも長蛇の列に並ぶことになる訳で、この時期はしっかりと仕事をしてGW前後の閑散時期に出動するのが得策なのです、というポジティブシンキングでうっちゃっておきましょうか。
 さて、そのGWが終わると世間に待ち受けるのは、そうです、ひたすら仕事なのです。大手企業はこの時期、決算発表を経て株主総会が開かれます。各企業は決算内容によって悲喜こもごもとなり、特に上場企業は株主の厳しい意見に晒されます。例えば、今最も窮地に陥っているのは、かの巨大企業の東芝です。原子力発電所建設がらみで買収した米国のウェスティングハウスが巨額の赤字を出して、また、他の様々な事業分野で赤字を出しながら挙句に粉飾決算を行い、今やかつての華やかさを失った企業です。この企業に関わらず、日本の電機業界は、近年、過去の輝きを失い、没落しています。三洋電機は、中国企業に買収され、シャープは、台湾企業の鴻海精密工業に買収されています。かつて日本の英知を結集させて拡大していった歴史に次々と幕を閉じていっているのです。これまで日本の得意分野である知識集約型の企業群が少しずつ剥がれ落ちているのです。もちろん、それに代わる知識集約型の事業分野はIT関連、ICT関連など発展を遂げてはいますが、世界の他国に対して決定的な競争力は有していません。そんな中で窮地に陥っている東芝は、優良分野の半導体を製造する事業分野を切り離して売却しようとしています。多くの知的所有権を持った事業分野を失態の身代わりにしようとしているのです。電気製品と言えば東の東芝、西の松下(現パナソニック)という時代は復活しないのでしょうか。パナソニックは一時期、危機がありましたが、事業分野の転換、拡大で事なきを得ています。しかし、東芝は、未だ前向きには転換できず、負の連鎖が続いているのです。企業というのは当然のことながら、その方針は何事も人間の思考、判断で決められていきます。もしそこに瑕疵や齟齬が存在すると企業の進路はとんでもなく危険な方向に向いていくのです。穏やかに見える海原の如く、見た目は穏やかでもその下では海流が渦巻いていることが大いにあるのです。働く人々の大切なことは、そんな目に見えない危険を察知する感性持ち合わせることであり、思考力を持つことが求められるのです。指示通りに動くだけでは危機管理はできないのです。一人一人がリスクマネージメントに取り組めば、少なくとも中小企業は生き残っていけます。大きな会社では情報伝達のスピードは遅くなりますが、少人数の企業では瞬時に情報伝達が行えます。それが長所であり、それが大事です。企業は生き物と言われます。人と人が集い、一つの目的に向けて力を合わせて達成を目指します。それはあたかも人の体の構造と同じです。すべてが正常に機能してこそ成り立っているのです。体の機能が損なわれた時には治癒に全力を挙げなければなりません。企業も然りです。人間も企業も危機はすぐそこにあります。それを忘れずにこれからも日々努力をしていきたいものです。