月別: 2025年8月

天空の浪漫

2025.08.20

 猛暑、猛暑、猛暑、外の日差しが痛いのであります。この暑さ、生涯で一番かもしれません。最高気温40℃越えのニュースが頻繁に報じられています。私たちの学生時代は、当時クーラーのない教室でも、心地よい風が通れば快適に過ごせました。大人になっても7年を過ごした北海道では、夏の暑さの最盛期でもエアコンをつけることはありませんでした。その昔、夏の暑さを凌ぐのは井戸水で冷やした西瓜であったり、家の前の打ち水であったり、風に揺られる風鈴の音色であったものです。それが今は、クーラーのない建物などは皆無であり、街を行く人は、右手にスマホ、左手にハンディファンなのであります。男性も右手に日傘、左手にハンディファンの時代となりました。地球温暖化一過性論者なのではありますが、万一、恒久的に温暖化が続くのであれば、次世代に対して誠に気の毒に思うのです。夏の甲子園野球大会も早朝2試合、夕刻2試合の開催になるようです。遅きに失したようにも思うのですが、せめてもの配慮に感謝というところでしょうか。この猛暑の日中に、屋外でスポーツ試合を実施するなどということは、自滅行為なのであります。ど根性の昭和ではないのですから、参加者本位の環境整備を各方面に一層、配慮願いたいものです。そんな夏でも一服の清涼剤となるのが、花火大会ではないでしょうか。さすがに花火は漆黒の夕やみにならねば意味がありません。夕刻以降は、少なからず熱波は緩み、少しは涼める時刻なのであります。その花火大会、全国各地で大小多くの花火大会が行われます。さしずめ大阪では、なにわ淀川花火大会が開催されます。例年は、8月初旬に行われるのですが、今年は大阪万博開催年であるため、例外的に10月になりました。花火大会の規模の大きさは、何発の花火が打ちあがるかという尺度があります。なにわ淀川は、おおよそ2万発という規模で開催されます。大阪近郊ではこれが、現在では一番大きい大会です。コロナ禍前までの通例では、PLの花火大会が全国的にも有名で、最も大きい花火大会でしたが、PL教団の衰退と共に、経費を捻出出来なくなって、自然消滅的に無くなってしまいました。そのほか現在大阪近郊の花火大会は、天神祭り奉納花火大会、琵琶湖花火大会、白浜花火大会などがあります。全国的には、東京の墨田川花火大会が有名ですが、日本三大花火大会といわれているのは、長岡まつり大花火大会、大曲花火大会、土浦全国花火競技大会です。長岡花火大会は、長岡空襲からの復興と慰霊、平和への祈りを込めて始まったという深い歴史を持ち、その想いが込められたプログラム、特に復興祈願花火「フェニックス」は多くの人々に感動を与え続けています。
また、正三尺玉のような巨大な花火を打ち上げる技術力や、信濃川という雄大な舞台を活かした壮大な演出の規模も、他の大会の追随を許さないものがあるということです。「大曲」と「土浦」は、いずれも全国の花火師たちがその技術と芸術性を競い合う、日本最高の花火競技会であります。これらの大会で優秀な成績を収めることは、花火師にとって最高の栄誉の一つとされ、内閣総理大臣賞などの権威ある賞が授与されることも、その地位を不動のものにしているということです。そう、実は、花火自体が芸術そのものなのであります。漆黒の天空に色鮮やかな火花が描くその様は、人類が憧れる宇宙の姿の再現なのかもしれません。そして、人類が自ら作れない宇宙空間への望みであるのかもしれません。その証として、確たる姿は、一瞬にして消滅していくのであります。私たちは、近頃、その花火の姿を、自分たちのスマホに記録して残そうとします。また、後日に見返して楽しもうとします。でもその映像と実際にリアルで見た花火では、根本的に違う気がします。だから、その花火の姿は、自分自身の脳裏にしっかりと記憶するのが良いのではないでしょうか。自分だけの印象を大切に仕舞っておけばよいと思うのです。スマホが普及して何事も記録できるようになりましたが、実際は、TPOを自分自身で考え、判断しなければなりません。自分だけの映像庫、重ねていきたいものです。