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本末転倒なのか

2024.07.20

 灼熱のシーズンとなりました。梅雨入りしても雨が降らない日は、体温に近い気温の毎日です。夏と言えば風鈴の季節でもありますが、そんな音色もかき消してしまう暑さには閉口してしまいます。チリンチリンを奏でるのは熱波、という感じでしょうか。もうひとつ、夏の暑さの対策としては花火があります。これからの時期は、全国のあちらこちらで大規模な花火大会が行われます。関西でも、天神祭奉納花火大会を皮切りに、淀川花火大会など各地で大小様々な花火大会が開催されます。納涼としてひと時、あでやかにその極彩色に引き込まれるのではあります。本当は、じとっとした暑さが支配しているのでありますが、ひととき、目に焼き付く花火の優美さが、そんな暑さを忘れさせてくれるのです。大きな花火大会は、テレビ等の映像でも中継されるのでありますが、それらは目で見るだけの実感でしかありません。汗ばむ野外で、地響きする花火の破裂音を聞きながら、華やかな景色を見るのとは大違いであります。このように、近年ますます拍車がかかる夏の暑さのような気候変動に、少しでも工夫をしてそれを凌いで行くことが、一つの対策なのかと感じます。心頭滅却すれば火もまた涼し、というところでしょうか。

 さて、今月から新しいデザインの紙幣が流通します。その人物像は、1万円札に渋沢栄一、5千円札に津田梅子、1千円札に北里柴三郎であります。これまで1万円札は、デザインが変わるごとに聖徳太子が要る、とか、諭吉が欲しい、とかという表現で表してきましたが、これからは栄一が必要、という慣用表現が普及するのでしょうか。早く新しいデザインの新札を見たいものですが、この新たな制度によって四苦八苦している人たちもいます。それは、現金自動販売機を使用している人たちです。なぜなら、自動販売機は、そのデザインによって現物であるかを読み取るからです。そのため、今までの紙幣読み取り性能に加えて、新しい紙幣を判別するセンサーを刷新しなければなりません。これに相当な費用が掛かるのであります。中小の商店や飲食店には、この費用が大変負担になるのです。大手企業にとってはこの設備更新に相応の費用が掛かっても必要経費として償却できるでしょうけれども中小零細商店にとっては、大きな負担になると思うのです。周辺をヒアリングしたところ、国からは何の助成も無いということです。この新たな紙幣の更新に関連する企業にとっては特需であり、良い儲けになるのでしょう。しかし、負担だけを強いられる中小零細事業家にとっては鬱憤でしかないのであります。普段の消費生活の中では、プリペイド派やクレジット派が多くなってきました。しかしながら、現金派はまだまだ多く存在しているわけで、その人々に対応するには機械類の更新が不可欠なのであります。切符を買うにもガソリンを入れるにも紙幣の読み取りが必要です。前述したように大手企業にとっては必要経費なのかもしれませんが、それだけでは利益を生まない読み取りセンサーの追加設備は、中小零細事業家の負担でしかないのです。紙幣のデザインを更新するのは、偽造防止や特定企業の特需には役立つものと思われますが、その制度の運用では、別途、中小零細に対して、国の助成や補助が必要なのでは、と感じます。日本の消費構造は、ますますキャッシュレス化にシフトしていきます。いや、日本のみならず世界的にその方向性は変わらないと思います。今やスマートフォンは、デジタルウォレット化しています。銀行口座の出し入れも、クレジットの使用も、ネットショッピングもこれ一つでできてしまうのです。簡単、便利、安心なのであります。ん?安心?いやいや、本当に安心なのでしょうか。セキュリティが入っているから安心でしょうか。世に悪の種は尽きまじき。不法侵入者は、虎視眈々と盗む手立てを考えているのです。くわばら、くわばら!